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トップページ >  疾患・症状から探す >  症状 >  胸が痛い(胸痛)

胸が痛い(胸痛)


胸の痛み、いわゆる胸痛は、多くの人が経験する症状です。
その原因はさまざまで、心臓の病気だけでなく、呼吸器系や消化器系の問題、精神的なストレスなどが考えられます。
この症状は、重大な病気のサインである可能性があるため、決して軽視してはいけません。

胸が痛い・胸痛とは

胸が痛い、または胸痛とは、胸部の広範囲にわたって生じる不快感や圧迫感、鋭い痛みなどを指す医学用語です。
その痛み方は人によって異なり、チクチクとした軽い痛みから、息ができないほどの激しい痛み、まるで胸を締め付けられるような感覚まで多岐にわたります。
この症状は、一時的なものから持続的なものまであり、痛みの場所や強さ、持続時間、そしてどのような動作や状況で痛みが生じるかによって、その原因をある程度特定することができます。
胸痛は、心臓、肺、食道、筋肉、骨、神経など、胸部にある多くの臓器や組織から発生する可能性があり、その原因を特定するためには専門的な知識が必要となります。
胸痛は、その原因となる病気によって、緊急性が大きく異なります。例えば、心筋梗塞のような命に関わる病気の場合、迅速な対応が不可欠です。
一方、筋肉痛や神経痛のように、比較的軽症で済む場合もあります。しかし、自己判断で軽視してしまうと、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
そのため、特に以下のような症状を伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。

胸が痛い・胸痛の原因とは?

胸痛の原因は多岐にわたりますが、ここでは主に心臓、肺、消化器、骨・筋肉、そして精神的な要因に分けて解説します。それぞれの原因によって痛みの特徴や随伴症状が異なるため、自分の症状と照らし合わせながら確認してみてください。

心臓に起因する胸痛

心臓の病気による胸痛は、最も注意すべきものです。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が詰まり、心筋の一部が壊死してしまう病気です。この場合、激しい胸の痛みや圧迫感、締め付けられるような痛みが20分以上続くことが特徴です。肩や首、顎、背中に痛みが広がることもあり、冷や汗、息切れ、吐き気などの症状を伴うことがあります。心筋梗塞は生命に関わるため、一刻も早く医療機関を受診する必要があります。
狭心症
狭心症は、冠動脈が動脈硬化などによって狭くなり、心筋への血流が一時的に不足することで起こります。階段を上る、重いものを持つなど、身体を動かした時に胸の真ん中が締め付けられるような痛みや圧迫感を感じることが多いです。痛みは数分で治まることがほとんどで、安静にすることで改善します。しかし、放置すると心筋梗塞に進行する可能性があるため、専門医による診断と治療が必要です。

その他の心臓疾患
心不全や不整脈、心臓弁膜症、心臓を取り巻く心膜の炎症である心膜炎も胸痛の原因となります。これらの疾患による胸痛は、心筋梗塞や狭心症とは異なる特徴を持つ場合がありますが、いずれも専門的な診断が必要です。

肺・呼吸器系に起因する胸痛

呼吸器系の病気でも胸痛が生じることがあります。
気胸
気胸は、肺に穴が開き、肺の中の空気が漏れて胸腔に溜まることで、肺がしぼんでしまう病気です。突然の鋭い胸の痛みと息苦しさが特徴で、特に若くて痩せ型の男性に多く見られます。痛みの程度は軽症から重症まで様々で、呼吸困難になることもあります。重症の緊張性気胸の場合、漏れた空気が心臓を圧迫してしまうことで命の危険を及ぼすこともあります。
肺炎・胸膜炎
肺炎や胸膜炎は、細菌やウイルス感染によって肺や胸膜が炎症を起こす病気です。胸痛は、咳をした時や深呼吸をした時に悪化することが多く、発熱や咳、痰などの症状を伴います。
縦郭気腫
気管や気管支、または肺の表面の胸膜が傷つくことで、気管や食道、心臓などの周囲に空気が漏れる病気です。ひどい場合には首まで漏れた空気が広がり、押すとブツブツと音を感じることができ、一般的にこの所見を握雪感といいます。非常にまれな病気ではありますが、野球や応援団など、部活で大きな声を出す学生で比較的多く経験します。多くの場合には安静で自然軽快しますが、まれに感染症を併発することがあるため、注意が必要です。

消化器系に起因する胸痛

消化器系の病気による胸痛は、心臓の病気と間違われることも少なくありません。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。胸焼けやげっぷ、胸の痛みが生じ、特に食後や横になった時に症状が悪化することがあります。

胸が痛い・胸痛の検査・診断

まず、問診により、胸痛がいつ、どこで、どのように始まったか、どのような種類の痛みか、他にどのような症状があるかなどを詳しく尋ねます。また、心音や呼吸音を聴診器で確認したり、胸部を軽く押して痛みの有無を確かめたりする身体診察も行います。

血液検査

心筋梗塞などの心臓病が疑われる場合、心筋細胞が壊死した際に血中に放出される特定の酵素(トロポニンなど)の量を調べる血液検査が行われます。
また、発症間もない時期に上昇する白血球や他の血中酵素など、炎症の有無を調べるためにCRP(C反応性タンパク)を測定することもあります。

心電図

心電図は、心臓の電気的な活動を記録する検査です。心筋梗塞や不整脈の診断に非常に有用で、ベッドの上で簡単に行うことができます。心臓に異常がある場合、特有の波形が現れることがあります。

画像検査

胸部のX線検査は、肺の異常や心臓の拡大などを確認するために行われます。CT検査やMRI検査は、心臓や血管、肺、食道などのより詳細な画像を得ることができ、心筋梗塞や肺塞栓症などの診断に役立ちます。

負荷心電図・心臓超音波検査

狭心症が疑われる場合、運動中に心電図を記録する負荷心電図検査が行われることがあります。また、心臓超音波検査(心エコー)は、心臓の動きや弁の状態、血流をリアルタイムで確認でき、心臓病の診断に不可欠です。

胸が痛い・胸痛の治療

胸痛の治療は、その根本的な原因によって大きく異なります。原因が特定できれば、それに応じた適切な治療が行われ、症状の改善を目指します。

心臓病の治療

心筋梗塞や狭心症のような心臓病が原因の場合、血流を改善するための治療が行われます。薬物療法としては、血液をサラサラにする薬や、血管を広げる薬が用いられます。より重度の場合、カテーテル治療(バルーンやステントを用いて血管を広げる手術)や、冠動脈バイパス手術が行われることもあります。これらの治療は、心臓への血流を確保し、再発を防ぐことを目的とします。カテーテル治療や冠動脈バイパス手術が必要な際には専門の医療機関に紹介させていただきます。

呼吸器・消化器系疾患の治療

肺炎や胸膜炎の場合、抗菌薬や抗炎症薬が処方されます。気胸の場合は、胸に管を挿入して空気を抜くドレナージ治療が行われます。ドレナージ治療が必要な際には、専門の医療機関に紹介させていただきます。
逆流性食道炎の場合は、胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの薬物療法が中心となります。これらの治療は、原因となっている炎症を抑えたり、症状を緩和したりすることを目指します。

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その他の治療

ストレスやパニック障害が原因の場合、抗不安薬やカウンセリングが有効です。また、筋肉や骨の痛みの場合は、鎮痛剤や湿布が使用されたり、理学療法が行われたりすることがあります。痛みの原因が特定できない場合でも、患者の不安を軽減するための対症療法が重要となります。

胸痛は、様々な原因が考えられるため、自己判断で原因を決めつけず、適切な診断を受けることが重要です。
特に、これまでに経験したことのない強い痛みや、息苦しさ、冷や汗を伴う場合は、すぐに医療機関を受診してください。