グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



トップページ >  疾患・症状から探す >  症状 >  胸の中がぽこぽこする

胸の中がぽこぽこする


ご自身の胸やお腹のあたりから、「ポコポコ」「ゴボゴボ」といった、まるで水がペットボトルの中で動いているような、あるいは空気が弾けるような音が聞こえてくる経験はありませんか。
この現象は、多くの場合、胃や腸などの消化器系の動きに伴う音であると考えられますが、まれに呼吸器やその他の問題が原因となっていることもあります。
音が鳴ること自体は生理的な現象であることも多いですが、音とともに痛みや息苦しさなどの他の症状を伴う場合は、何らかの疾患が隠れている可能性もあります。

胸の中でポコポコと音がする

胸のあたりで感じる「ポコポコ」音は、多くの場合、胸腔や腹部で発生する気体や液体の動きが原因で起こります。
胸の中で感じる「ポコポコ」という音は、音が聞こえる正確な場所や、他の症状の有無によって、その原因が大きく異なります。
多くの場合、この音は胸部というよりは、胸部のすぐ下にある腹部(胃や腸)から発生している腹鳴(ふくめい)であることが一般的です。
胃や腸の中では、食べたものや飲み物、消化液と、消化の過程で発生したガス(空気)が混ざり合って移動しています。
この液体と気体が動く際に、小さな泡が弾けたり、ガスが移動したりすることで、「ポコポコ」「キュルキュル」「ゴロゴロ」といった様々な音が聞こえてくるのです。
これは生理的な現象であり、食後や空腹時に起こりやすいものですが、音が大きく頻繁に聞こえると不安になるかもしれません。

しかし、音が胸部のより高い位置、具体的には肺や心臓のあたりから聞こえると感じる場合は、呼吸器系の問題である可能性も考慮する必要があります。
例えば、肺の中に炎症などで液体(浸出液)や空気が溜まっている場合や、気管支が狭くなっている場合に、呼吸に伴って音が鳴ることがあります。
この場合、「ポコポコ」というよりは、「ゼーゼー」や「プツプツ」といった別の音として表現されることが多いです。
音とともに、咳や息苦しさ、胸の痛みなどの症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
また、稀にですが、外傷や病気によって肺を包む膜(胸膜)の間に空気が漏れ出て溜まる気胸(ききょう)という状態や、体内に溜まった液体が原因で、胸腔内で音が鳴ることもあります。特に、気胸を繰り返し発症している方に比較的多い印象があります。
音が聞こえる場所、聞こえ方、そして随伴症状を正確に把握することが、原因特定のための第一歩となります。

胸の中でポコポコと音がする原因

胸の「ポコポコ」音の主な原因は、消化器系における空気と液体の動きですが、まれに呼吸器系の異常やその他の要因も関わってきます。

消化管内のガスと水分の移動

「ポコポコ」音が聞こえる最も一般的な原因は、消化管(胃や腸)内のガスと水分の移動です。
食事や飲み物を摂取する際に飲み込んだ空気や、消化の過程で腸内細菌が発生させるガス(おならの元)が、胃液や腸液と混ざり合い、消化管のぜん動運動(内容物を移動させる動き)によって移動します。
この過程で気泡が弾けたり、ガスが液体の中を移動したりする際に、周囲に振動が伝わり音として聞こえるのです。
特に、早食いをしたり、炭酸飲料を飲んだりした後は、空気の飲み込みが多くなるため、音が鳴りやすくなります。
また、空腹時には、次に食べ物が入ってくる準備として消化管が活発に動き出すため、音が鳴りやすい傾向があります。

肺や胸腔内の異常

まれではありますが、胸腔内の異常が音の原因となることもあります。
例えば、気胸(ききょう)のように、肺の表面に穴が開き、胸腔内(肺の入っているスペース)に空気が漏れ出て溜まると、呼吸のたびに胸の中で空気が移動したり、溜まった空気が肺を圧迫したりすることで、「ポコポコ」「プチプチ」といった音が聞こえることがあります。
また、肺炎や胸膜炎などで胸腔内に異常な液体(胸水)が溜まった場合にも、呼吸や体位の変化に伴って液体が移動する音として「ポコポコ」と感じることもあります。
これらの場合は、息苦しさや胸の痛みなど、他の重篤な症状を伴うことが一般的です。

胸の中でポコポコと音がするときに考えられる病気・疾患

胸の「ポコポコ」音が、単なる生理現象ではなく、何らかの疾患のサインである可能性もあります。

消化器系の疾患

「ポコポコ」音の多くの原因は、過敏性腸症候群(IBS)や胃食道逆流症(GERD)などの消化器系の疾患です。
過敏性腸症候群は、腸のぜん動運動に異常が生じ、腹痛や下痢、便秘などが慢性的に繰り返される病気で、腸内のガスが異常に増えることで、腹鳴(ポコポコ音)が大きくなることがよくあります。
また、胃食道逆流症は、胃酸の逆流によって胸やけなどの症状を引き起こしますが、逆流したガスによる「ポコポコ」音やゲップの増加を伴うことも少なくありません。
これらの疾患は、食事や生活習慣の改善、そして適切な薬物療法で症状をコントロールすることが可能です。

呼吸器系の緊急疾患

音が胸部の高い位置から聞こえ、かつ息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、気胸(ききょう)などの呼吸器系の緊急疾患を疑う必要があります。
気胸は、肺から空気が漏れ出て胸腔内に溜まり、肺がしぼんでしまう状態です。軽度の場合は自然治癒することもありますが、重度の場合は呼吸困難や心停止に至る場合があるため、緊急の処置が必要となります。
また、肺炎や肺膿瘍などの重度の呼吸器感染症により、肺の中にガスや液体が溜まり、異常音が聞こえることもあります。
この場合は、通常、高熱や激しい咳、痰を伴います。

その他

まれなケースとして、消化管の通過が妨げられる腸閉塞(イレウス)などの疾患も、強い腹鳴(ポコポコ音)を引き起こす可能性があります。
腸閉塞では、内容物が先に進めず、閉塞部の手前でガスや液体が異常に溜まり、激しい腹痛や嘔吐を伴います。
この場合の腹鳴は、非常に大きく、金属が擦れるような音(金属性雑音)として聞こえることもあります。

胸の中でポコポコと音がするときの検査

胸の「ポコポコ」音の原因を特定するためには、その音源が消化器系か呼吸器系かを鑑別するための検査が必要です。

問診と身体診察

まず、最も重要なのは問診と身体診察です。
音が聞こえる正確な場所(胸の上部か、胃やお腹のあたりか)、音の大きさ、頻度、どのような状況(食後、空腹時、体位を変えた時など)で音が鳴るのかを詳しくお伺いします。
また、腹痛、胸やけ、咳、息苦しさ、発熱などの随伴症状の有無を確認します。
医師が聴診器を用いて胸部や腹部の音を直接聴診し、腹鳴(腸の音)や呼吸音に異常がないかを確認することが、音源を特定する上で最も基本的な検査となります。

レントゲン検査

音が胸部(肺や胸腔)から聞こえる、または息苦しさなどの呼吸器症状を伴う場合は、胸部X線検査(レントゲン)を実施します。
この検査で、気胸の有無や、肺炎、胸水などの異常がないかを迅速に確認することができます。
特に気胸は緊急性が高いため、レントゲン検査は非常に重要な役割を果たします。
消化器系の異常が疑われる場合は、胃や腸のガスの溜まり具合などを評価するために腹部のX線検査を行うこともあります。

消化器系の検査

胃食道逆流症や過敏性腸症候群などの消化器系の疾患が強く疑われる場合は、さらに専門的な検査が必要となることがあります。
胃酸の逆流の程度を評価するための上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を検討します。これらの検査は、胃や腸の粘膜の状態を直接観察し、炎症や潰瘍、腫瘍などの有無を確認するのに最も確実な方法です。
おざわ・診療所では、連携医療機関と協力し、必要に応じてこれらの専門的な検査をご案内いたします。

胸の中でポコポコと音がするという現象は、多くが消化管の生理的な動きによるものですが、まれに呼吸器系の重要な疾患のサインである可能性もあります。
不安な症状が続く場合や、音とともに息苦しさ、胸の痛みなどの症状を伴う場合は、自己判断せずに磐田市の当おざわ・診療所までご相談ください。