脂質異常症
脂質異常症、以前は高脂血症と呼ばれていたこの病気は、血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質のバランスが崩れることで起こります。
自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに病状が進行し、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な病気の原因となることがあります。
自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに病状が進行し、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な病気の原因となることがあります。
チェックリスト
脂質異常症(高脂血症)チェックリスト
- 肉や揚げ物など、脂質の多い食事が好きでよく食べる
- 野菜やきのこ、海藻類をあまり食べない
- 肥満気味である、またはメタボリックシンドロームと診断されたことがある
- 運動不足である
- 喫煙集患がある
- 飲酒量が多い
- ストレスが多いと感じる
- 家族に脂質異常症や心臓病、脳卒中の人がいる
- 健康診断でコレステロールや中性脂肪の数値が高いと指摘されたことがある
- 糖尿病や高血圧などの生活習慣病を指摘されている
脂質異常症(高脂血症)とは
脂質異常症とは、血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪といった脂質の濃度が、基準値から外れてしまう病気です。
以前は高脂血症と呼ばれていましたが、HDL(善玉)コレステロールが低い場合も動脈硬化のリスクが高まることが明らかになったため、現在は「脂質異常症」という名称が使われています。
脂質異常症は、大きく分けていくつかのタイプに分類されます。それぞれの脂質がどのような役割を持ち、どの脂質に異常があるかによって、診断名とリスクが異なります。
以前は高脂血症と呼ばれていましたが、HDL(善玉)コレステロールが低い場合も動脈硬化のリスクが高まることが明らかになったため、現在は「脂質異常症」という名称が使われています。
脂質異常症は、大きく分けていくつかのタイプに分類されます。それぞれの脂質がどのような役割を持ち、どの脂質に異常があるかによって、診断名とリスクが異なります。
脂質の種類とその役割
血液中の脂質には、主に以下の3種類があります。
これらは体内で重要な役割を担っていますが、バランスが崩れると健康に悪影響を及ぼします。
コレステロール
コレステロールは、細胞膜の構成成分、ステロイドホルモンや胆汁酸の材料となるなど、体にとって必要不可欠な脂質です。肝臓で合成されるものと、食事から摂取されるものがあります。コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があります。
中性脂肪(トリグリセライド)
中性脂肪は、体を動かすエネルギー源として利用される脂質で、余分なエネルギーは中性脂肪として体内に蓄えられます。特に、肥満や過度な飲酒、糖質の摂りすぎによって増加しやすい傾向があります。
中性脂肪値が高いと、LDLコレステロールが増えやすくなったり、HDLコレステロールが減少しやすくなったりするだけでなく、膵炎などの急性疾患のリスクも高まります。
これらは体内で重要な役割を担っていますが、バランスが崩れると健康に悪影響を及ぼします。
コレステロール
コレステロールは、細胞膜の構成成分、ステロイドホルモンや胆汁酸の材料となるなど、体にとって必要不可欠な脂質です。肝臓で合成されるものと、食事から摂取されるものがあります。コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があります。
- LDL(悪玉)コレステロール:肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。しかし、LDLコレステロールが過剰になると、血管壁に蓄積し、動脈硬化を促進してしまうため「悪玉」と呼ばれます。LDLコレステロール値が高い状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
- HDL(善玉)コレステロール:全身の細胞から余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻す役割を担っています。HDLコレステロールが多いと、血管壁にたまったコレステロールを取り除き、動脈硬化の進行を抑える働きがあるため「善玉」と呼ばれます。HDLコレステロール値が低いと、動脈硬化のリスクが高まります。
中性脂肪(トリグリセライド)
中性脂肪は、体を動かすエネルギー源として利用される脂質で、余分なエネルギーは中性脂肪として体内に蓄えられます。特に、肥満や過度な飲酒、糖質の摂りすぎによって増加しやすい傾向があります。
中性脂肪値が高いと、LDLコレステロールが増えやすくなったり、HDLコレステロールが減少しやすくなったりするだけでなく、膵炎などの急性疾患のリスクも高まります。
脂質異常症の種類
これらの脂質のバランスの崩れ方によって、脂質異常症は主に以下の3つのタイプに分けられます。
これらのタイプのいずれか、または複数を併発していることがあります。特に、高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症が組み合わさると、動脈硬化のリスクがさらに高まります。
- 高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が高い状態。最も一般的な脂質異常症です。
- 低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値が低い状態。
- 高トリグリセライド(中性脂肪)血症:中性脂肪値が高い状態。
これらのタイプのいずれか、または複数を併発していることがあります。特に、高LDLコレステロール血症と高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症が組み合わさると、動脈硬化のリスクがさらに高まります。
脂質異常症の原因
脂質異常症の主な原因は、遺伝的な要因と、日々の生活習慣が複雑に絡み合って起こると考えられています。特に、食生活の乱れ、運動不足、喫煙、過度の飲酒などが大きく影響します。これらの要因が長期間にわたって脂質代謝に悪影響を及ぼし、脂質異常症を引き起こします。
脂質異常症の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「原発性(一次性)脂質異常症」と「続発性(二次性)脂質異常症」に分類されます。ほとんどの脂質異常症は原発性に分類され、生活習慣が深く関わっています。
脂質異常症の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて「原発性(一次性)脂質異常症」と「続発性(二次性)脂質異常症」に分類されます。ほとんどの脂質異常症は原発性に分類され、生活習慣が深く関わっています。
生活習慣
食生活、運動習慣、喫煙、飲酒など、日々の生活習慣が脂質異常症の最大の原因となります。現代社会の食生活の変化や運動不足は、脂質異常症の増加に拍車をかけています。
食事
食生活は、血液中の脂質濃度に直接的な影響を与えます。特に以下の点に注意が必要です。
食生活は、血液中の脂質濃度に直接的な影響を与えます。特に以下の点に注意が必要です。
- 脂質の多い食事の摂りすぎ
- 糖質の摂りすぎ
- 食物繊維の不足
運動不足
運動不足は、エネルギー消費量が少なくなるため、体内に中性脂肪が蓄積されやすくなります。また、運動はHDL(善玉)コレステロールを増やす効果があるため、運動不足はHDLコレステロールの低下にも繋がります。定期的な運動習慣がない方は、脂質異常症のリスクが高まります。
肥満
肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、脂質代謝に大きな影響を与えます。内臓脂肪からは、動脈硬化を促進したり、インスリンの働きを悪くしたりする物質が分泌され、中性脂肪の増加やHDLコレステロールの減少を招きます。適正体重を維持することは、脂質異常症の予防・改善に不可欠です。
喫煙・飲酒
喫煙は、HDLコレステロールを低下させ、LDLコレステロールの酸化を促進することで、動脈硬化を悪化させます。血管内皮を傷つける作用もあり、脂質異常症との相乗効果で心筋梗塞や脳卒中のリスクを大幅に高めます。
飲酒、アルコールの過剰摂取は、肝臓での中性脂肪の合成を促進するため、中性脂肪値の上昇に直結します。特に、ビールや日本酒など糖質を多く含むアルコールは注意が必要です。
飲酒、アルコールの過剰摂取は、肝臓での中性脂肪の合成を促進するため、中性脂肪値の上昇に直結します。特に、ビールや日本酒など糖質を多く含むアルコールは注意が必要です。
ストレス
長期的なストレスは、ホルモンバランスや自律神経の乱れを引き起こし、脂質代謝に悪影響を及ぼす可能性があります。ストレスによって食生活や飲酒量が増えることも、脂質異常症を悪化させる要因となります。
遺伝的要因
遺伝的な体質も脂質異常症の発症に大きく関わっています。両親や祖父母に脂質異常症の人がいる場合、遺伝的にコレステロールの代謝異常を起こしやすい体質を受け継いでいる可能性があります。たとえ生活習慣が健康であっても、遺伝的要因で脂質異常症になる場合もあります。このような場合は、より一層、生活習慣の改善に努めるとともに、定期的な健康チェックが重要になります。
続発性(二次性)脂質異常症
ごく一部の脂質異常症は、他の病気や薬剤が原因で起こることがあります。これを続発性脂質異常症と呼びます。
病気による原因については、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、膵炎、肝臓病、クッシング症候群などが挙げられます。これらの病気によって脂質代謝が異常をきたし、脂質異常症を引き起こすことがあります。
薬剤による原因については、ステロイド薬、経口避妊薬、一部の降圧薬(サイアザイド系利尿薬、β遮断薬)、免疫抑制剤なども、脂質異常症を引き起こす可能性があります。
これらの原因が特定されれば、原因となる病気の治療や薬剤の見直しによって、脂質異常症が改善する可能性があります。
病気による原因については、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、膵炎、肝臓病、クッシング症候群などが挙げられます。これらの病気によって脂質代謝が異常をきたし、脂質異常症を引き起こすことがあります。
薬剤による原因については、ステロイド薬、経口避妊薬、一部の降圧薬(サイアザイド系利尿薬、β遮断薬)、免疫抑制剤なども、脂質異常症を引き起こす可能性があります。
これらの原因が特定されれば、原因となる病気の治療や薬剤の見直しによって、脂質異常症が改善する可能性があります。
脂質異常症の症状
脂質異常症は、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれるように、自覚症状がほとんどないのが特徴です。病気がかなり進行し、動脈硬化による合併症が起こって初めて症状が現れることがほとんどです。そのため、知らない間に病状が進行していることが多く、定期的な健康診断での血液検査が非常に重要となります。
脂質異常症は、そのもの自体が直接的な症状を引き起こすことは稀です。しかし、血液中の過剰な脂質が血管壁に蓄積し、動脈硬化が進行することで、様々な合併症を引き起こし、その結果として症状が現れます。
脂質異常症は、そのもの自体が直接的な症状を引き起こすことは稀です。しかし、血液中の過剰な脂質が血管壁に蓄積し、動脈硬化が進行することで、様々な合併症を引き起こし、その結果として症状が現れます。
無症状であることがほとんど
初期の脂質異常症では、コレステロールや中性脂肪の値が高くても、身体に何の異常も感じないことがほとんどです。そのため、健康診断で初めて異常を指摘され、驚く方も少なくありません。この無症状の期間にこそ、生活習慣の改善や適切な治療を開始することが、将来の重篤な合併症を防ぐ上で極めて重要になります。喉の渇きや疲れやすさといった漠然とした症状があったとしても、それが直接的に脂質異常症によるものと断定することは難しいでしょう。
合併症による症状
脂質異常症を放置すると、血管の柔軟性が失われ、内壁にコレステロールなどがたまって血管が狭くなったり、血栓ができやすくなったりする動脈硬化が進行します。この動脈硬化が、様々な臓器に影響を及ぼし、以下のような症状や病気を引き起こします。
狭心症・心筋梗塞
心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりすることで起こります。
心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が動脈硬化によって狭くなったり詰まったりすることで起こります。
- 狭心症 運動時や興奮時に、胸が締め付けられるような痛みや圧迫感、息苦しさを感じます。安静にすると数分で治まることが多いです。
- 心筋梗塞 冠動脈が完全に詰まり、心臓の筋肉の一部が壊死してしまう状態です。激しい胸の痛みや圧迫感が30分以上続き、冷や汗や吐き気を伴うこともあります。命に関わる緊急性の高い状態です。
脳梗塞・脳出血
脳の血管が動脈硬化によって狭くなったり詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血)することで起こります。
脳の血管が動脈硬化によって狭くなったり詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血)することで起こります。
- 脳梗塞片側の手足の麻痺、しびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、顔の片側が下がる、めまい、意識障害などの症状が突然現れます。
- 脳出血 突然の激しい頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害、手足の麻痺などが現れます。
末梢動脈疾患
足の血管(特に太ももやふくらはぎ)に動脈硬化が起こり、血流が悪くなることで、間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる症状が現れます。これは、少し歩くと足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなり、休むとまた歩けるようになるという状態です。重症化すると、安静時にも痛みが生じたり、足の指が壊死したりすることもあります。
足の血管(特に太ももやふくらはぎ)に動脈硬化が起こり、血流が悪くなることで、間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる症状が現れます。これは、少し歩くと足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなり、休むとまた歩けるようになるという状態です。重症化すると、安静時にも痛みが生じたり、足の指が壊死したりすることもあります。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症のリスク因子のうちで、もっとも高いものの一つに脂質異常症があります。
アルツハイマー型認知症のリスク因子のうちで、もっとも高いものの一つに脂質異常症があります。
眼底の異常
眼底の血管にも動脈硬化が起こり、血管が白っぽく見えたり、網膜に出血が起こったりすることがあります(高脂血症性網膜症)。視力低下を引き起こすことは稀ですが、眼科で異常が見つかることがあります。
これらの症状は、既に動脈硬化がかなり進行しているサインであり、早急な治療が必要となります。脂質異常症は、自覚症状がないからこそ、定期的な健康診断でのチェックが非常に重要です。
眼底の血管にも動脈硬化が起こり、血管が白っぽく見えたり、網膜に出血が起こったりすることがあります(高脂血症性網膜症)。視力低下を引き起こすことは稀ですが、眼科で異常が見つかることがあります。
これらの症状は、既に動脈硬化がかなり進行しているサインであり、早急な治療が必要となります。脂質異常症は、自覚症状がないからこそ、定期的な健康診断でのチェックが非常に重要です。
脂質異常症の診断基準
脂質異常症は、血液検査によってコレステロールや中性脂肪の値が基準値を超えているかどうかで診断されます。
自覚症状がないため、健康診断や人間ドックで初めて指摘されることがほとんどです。診断基準は、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」によって定められています。
脂質異常症の診断には、空腹時採血による血液検査が用いられます。食後では中性脂肪の値が変動しやすいため、少なくとも10時間以上絶食した状態での採血が望ましいとされています。診断基準となる主な項目は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の3つです。
自覚症状がないため、健康診断や人間ドックで初めて指摘されることがほとんどです。診断基準は、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」によって定められています。
脂質異常症の診断には、空腹時採血による血液検査が用いられます。食後では中性脂肪の値が変動しやすいため、少なくとも10時間以上絶食した状態での採血が望ましいとされています。診断基準となる主な項目は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)の3つです。
診断基準値
日本動脈硬化学会のガイドラインでは、以下のいずれかの項目に該当する場合に脂質異常症と診断されます。
・高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が140mg/dL以上
LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、基準値を超えて高くなると、血管壁に蓄積して動脈硬化を促進します。特に、この数値が高い場合は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇するため、積極的な管理が求められます。
LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、基準値を超えて高くなると、血管壁に蓄積して動脈硬化を促進します。特に、この数値が高い場合は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇するため、積極的な管理が求められます。
・低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値が40mg/dL未満
HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ、余分なコレステロールを回収する働きがあります。この数値が低いと、動脈硬化の進行を抑える力が弱まり、リスクが高まります。
HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれ、余分なコレステロールを回収する働きがあります。この数値が低いと、動脈硬化の進行を抑える力が弱まり、リスクが高まります。
・高トリグリセライド(中性脂肪)血症:中性脂肪値が150mg/dL以上
中性脂肪はエネルギー源として重要ですが、基準値を超えて高くなると、LDLコレステロールの増加やHDLコレステロールの低下を招き、動脈硬化のリスクを高めます。また、極端に高い場合は急性膵炎の原因となることもあります。
中性脂肪はエネルギー源として重要ですが、基準値を超えて高くなると、LDLコレステロールの増加やHDLコレステロールの低下を招き、動脈硬化のリスクを高めます。また、極端に高い場合は急性膵炎の原因となることもあります。
・Non-HDLコレステロール
近年では、LDLコレステロールだけでなく、Non-HDLコレステロールという新しい指標も注目されています。
Non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値で、悪玉とされるコレステロール全般(LDLコレステロールだけでなく、レムナントコレステロールなど)の量を反映します。
糖尿病患者や中性脂肪が高い方などでは、LDLコレステロールが正常範囲内でも動脈硬化のリスクが高い場合があり、そのようなケースでNon-HDLコレステロールが有用な指標となります。
診断基準は、Non-HDLコレステロール値が170mg/dL以上とされています。
近年では、LDLコレステロールだけでなく、Non-HDLコレステロールという新しい指標も注目されています。
Non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値で、悪玉とされるコレステロール全般(LDLコレステロールだけでなく、レムナントコレステロールなど)の量を反映します。
糖尿病患者や中性脂肪が高い方などでは、LDLコレステロールが正常範囲内でも動脈硬化のリスクが高い場合があり、そのようなケースでNon-HDLコレステロールが有用な指標となります。
診断基準は、Non-HDLコレステロール値が170mg/dL以上とされています。
一度の採血で基準値を超えたからといって、すぐに脂質異常症と診断されるわけではありません。
体調や食事の影響で一時的に数値が変動することもあるため、時間をおいて複数回測定し、継続的に異常値が見られる場合に診断が確定します。
体調や食事の影響で一時的に数値が変動することもあるため、時間をおいて複数回測定し、継続的に異常値が見られる場合に診断が確定します。
脂質異常症の治療
脂質異常症の治療は、血液中の異常な脂質レベルを改善し、動脈硬化の進行を抑制することによって、将来的な心筋梗塞や脳卒中といった重篤な病気を予防することを最大の目的とします。治療は、まず生活習慣の改善を基本とし、それでも目標値に達しない場合や、動脈硬化のリスクが高い場合には薬物療法が検討されます。
脂質異常症の治療は、患者さん個々の脂質値、動脈硬化のリスク因子(高血圧、糖尿病、喫煙など)、合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。
脂質異常症の治療は、患者さん個々の脂質値、動脈硬化のリスク因子(高血圧、糖尿病、喫煙など)、合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。
生活習慣の改善
脂質異常症の治療において、薬物療法と同等、あるいはそれ以上に重要なのが生活習慣の改善です。薬を服用している場合でも、生活習慣の改善は継続して行う必要があります。
食事療法
食生活の見直しは、脂質異常症の改善に最も直接的に影響を与えます。
気を付けるポイントは下記になります。
食生活の見直しは、脂質異常症の改善に最も直接的に影響を与えます。
気を付けるポイントは下記になります。
- 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸の制限
- コレステロールの摂取量に注意
- 食物繊維の積極的な摂取
- 糖質の過剰摂取を控える
- アルコールの制限
運動療法
適度な運動は、中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります。
ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、軽く息が弾む程度の有酸素運動を、毎日30分以上、または週に合計150分以上行うことが推奨されています。
一度に行うだけでなく、毎日継続することが重要です。日常生活の中で、階段を使う、一駅分歩くなど、体を動かす機会を増やす工夫も効果的です。
適度な運動は、中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果があります。
ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、軽く息が弾む程度の有酸素運動を、毎日30分以上、または週に合計150分以上行うことが推奨されています。
一度に行うだけでなく、毎日継続することが重要です。日常生活の中で、階段を使う、一駅分歩くなど、体を動かす機会を増やす工夫も効果的です。
禁煙
喫煙は、HDLコレステロールを低下させ、動脈硬化を進行させる最大の危険因子の一つです。
脂質異常症の治療において、禁煙は必須と考えられています。禁煙が難しい場合は、禁煙外来の利用も検討しましょう。
喫煙は、HDLコレステロールを低下させ、動脈硬化を進行させる最大の危険因子の一つです。
脂質異常症の治療において、禁煙は必須と考えられています。禁煙が難しい場合は、禁煙外来の利用も検討しましょう。
適正体重の維持
肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症を悪化させる大きな要因です。体重を減らすことで、LDLコレステロールや中性脂肪が減少し、HDLコレステロールが増加する効果が期待できます。バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせ、無理のない範囲で減量に取り組みましょう。
肥満、特に内臓脂肪の蓄積は、脂質異常症を悪化させる大きな要因です。体重を減らすことで、LDLコレステロールや中性脂肪が減少し、HDLコレステロールが増加する効果が期待できます。バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせ、無理のない範囲で減量に取り組みましょう。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは目標とする脂質値に達しない場合や、動脈硬化性疾患のリスクが高い場合には、薬物療法が開始されます。薬は、医師の指示に基づいて適切に服用することが重要です。自己判断で中止したり、量を変更したりすると、効果が得られないだけでなく、病状が悪化する可能性があります。
生活習慣の改善だけでは目標とする脂質値に達しない場合や、動脈硬化性疾患のリスクが高い場合には、薬物療法が開始されます。薬は、医師の指示に基づいて適切に服用することが重要です。自己判断で中止したり、量を変更したりすると、効果が得られないだけでなく、病状が悪化する可能性があります。
降脂薬の種類
脂質異常症の治療に使われる主な薬には、以下のような種類があります。
・スタチン系薬剤
LDLコレステロール値を下げる最も強力な薬です。肝臓でのコレステロール合成を阻害することで、血中のLDLコレステロールを減少させます。動脈硬化の進行抑制効果も期待されています。
・コレステロール吸収阻害薬
小腸からのコレステロール吸収を阻害することで、LDLコレステロールを低下させます。スタチン系薬剤と併用されることもあります。
・フィブラート系薬剤
主に中性脂肪値を強力に下げる薬です。HDLコレステロールを上げる効果も期待できます。
・EPA製剤/DHA製剤
魚油由来の不飽和脂肪酸で、主に中性脂肪を低下させる効果があります。心血管イベントの抑制効果も報告されています。
・PCSK9阻害薬
比較的新しいタイプの注射薬で、既存の薬でLDLコレステロールが十分に下がらない場合に用いられます。非常に強力なLDLコレステロール低下作用を持ちます。
・陰イオン交換樹脂
胆汁酸の再吸収を阻害し、コレステロールの排泄を促進することでLDLコレステロールを低下させます。
これらの薬は、患者さんの脂質プロファイル、合併症、リスク因子などを考慮して、医師が最適なものを選択します。薬物療法を開始した後も、定期的に血液検査を行い、薬の効果や副作用を確認しながら、必要に応じて薬の種類や量を調整していきます。
脂質異常症の治療は、単に数値を下げるだけでなく、将来の心筋梗塞や脳卒中などの発症を防ぎ、健康寿命を延ばすために非常に重要です。医師と相談しながら、根気強く治療を続けていくことが大切です。
LDLコレステロール値を下げる最も強力な薬です。肝臓でのコレステロール合成を阻害することで、血中のLDLコレステロールを減少させます。動脈硬化の進行抑制効果も期待されています。
・コレステロール吸収阻害薬
小腸からのコレステロール吸収を阻害することで、LDLコレステロールを低下させます。スタチン系薬剤と併用されることもあります。
・フィブラート系薬剤
主に中性脂肪値を強力に下げる薬です。HDLコレステロールを上げる効果も期待できます。
・EPA製剤/DHA製剤
魚油由来の不飽和脂肪酸で、主に中性脂肪を低下させる効果があります。心血管イベントの抑制効果も報告されています。
・PCSK9阻害薬
比較的新しいタイプの注射薬で、既存の薬でLDLコレステロールが十分に下がらない場合に用いられます。非常に強力なLDLコレステロール低下作用を持ちます。
・陰イオン交換樹脂
胆汁酸の再吸収を阻害し、コレステロールの排泄を促進することでLDLコレステロールを低下させます。
これらの薬は、患者さんの脂質プロファイル、合併症、リスク因子などを考慮して、医師が最適なものを選択します。薬物療法を開始した後も、定期的に血液検査を行い、薬の効果や副作用を確認しながら、必要に応じて薬の種類や量を調整していきます。
脂質異常症の治療は、単に数値を下げるだけでなく、将来の心筋梗塞や脳卒中などの発症を防ぎ、健康寿命を延ばすために非常に重要です。医師と相談しながら、根気強く治療を続けていくことが大切です。