グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ




気胸



気胸とは

気胸とは、肺に穴が開き、空気が漏れることで、肺がしぼんでしまう病気です。
健康な状態では、肺は胸の中を埋めるように膨らんでいます。ところが、何らかの原因で肺の表面に穴が開くと、そこから空気が胸の中(胸腔:きょうくう)に漏れ出してしまいます。すると、肺は外側から空気に押されてしぼんでしまい、本来の役割である呼吸がうまくできなくなります。これが気胸と呼ばれる状態です。
気胸は、安静にしているときでも、突然起こることがあり、放置すると症状が悪化し、重症化する可能性もあります。

気胸の症状

気胸の主な症状は、突然の胸の痛みと息苦しさです。
これらの症状は、特に運動時だけでなく、安静にしているときでも突然現れることがあります。
・突然の胸の痛み
鋭い胸の痛みが、突然、片側の胸に現れるのが最も多い症状です。痛みは、体を動かしたり、咳をしたりすると強くなることがあります。
・息苦しさ、呼吸がしづらい
肺がしぼむことで、空気をうまく吸い込めなくなります。そのため、「息が吸いにくい」「息が苦しい」と感じます。重症になると、少し動くだけでも激しい息切れを感じるようになります。
・乾いた咳
「コンコン」という乾いた咳が続くこともあります。これは、胸の中に入った空気が刺激となって起こると考えられています。

気胸の原因と種類

気胸は、その原因によっていくつかの種類に分けられます。
ご自身の症状がどのタイプに当てはまるかを知ることは、適切な治療を受ける上で役立ちます。
・自然気胸
健康な人に特別な原因がなく、突然発症する気胸です。これは、肺の表面にできた「ブラ」や「ブレブ」と呼ばれる、風船のような袋が破れることで起こります。
特に背が高く、痩せ型の若い男性に多く見られますが、女性にも起こることがあります。
・続発性気胸
肺気腫(はいきしゅ)や間質性肺炎といった、もともとある肺の病気が原因で、肺の組織が弱くなっているために起こる気胸です。高齢者に多く見られる傾向があります。
・外傷性気胸
交通事故や転落、胸部への強い衝撃など、外部からの力によって胸にケガを負った際に起こる気胸です。
・特殊な気胸
生理周期に一致して気胸を発症する月経随伴性気胸という病気があります。子宮内膜組織が肺の表面や横隔膜状に存在し、生理に伴って出血・脱落するために気胸を発症すると考えられています。
その他には、難病指定されている肺リンパ脈管筋腫症や遺伝性疾患のBHD症候群などがあります。

当院の気胸の検査・診断方法

当院では、気胸の疑いがある患者様に対して、迅速かつ正確な診断を行うための検査体制を整えています。
胸の痛みや息苦しさでご来院された際には、まずは以下の検査を行います。
・問診と身体診察
いつ、どのような状況で症状が現れたか、詳しくお話を伺います。その後、聴診器を使って呼吸音を確認します。
気胸になっている側の呼吸音が小さくなったり、聞こえなくなったりすることがあります。
・画像検査(胸部X線検査)
気胸の診断に最も重要なのが、肺の状態を画像で確認する検査です。
・胸部X線検査
肺がどのくらいしぼんでいるかを迅速に確認できます。気胸の診断において、最も基本的な検査です。気胸を発症されて受診されるの方の中には、明確に自覚していないだけで、実は過去に複数回発症している方もいます。その場合には肺と胸壁との癒着が存在し、気胸の診断が難しくなる場合もあります。
当院の医師は気胸の治療経験が豊富であり、そのような患者様にも対応が可能です。

気胸の治療法

気胸の治療は、肺のしぼみ具合や空気の漏れの量、再発の有無によって異なります。
当院では、患者様一人ひとりの状態をしっかりと見極め、最適な治療法を提案します。
・保存的治療(安静)
肺のしぼみが軽度で、空気の漏れも少ないと予想される場合は、安静にして自然治癒を待ちます。
入院は不要で、定期的に通院していただき、経過を観察します。

・脱気(ドレナージ)
肺が大きくしぼんでいる場合や、症状が重い場合は、胸の中に溜まった空気を抜く治療が必要です。
胸に細い管(チューブ)を入れ、空気を抜くことで、しぼんだ肺を元の状態に戻します。
・手術
脱気治療をしても空気の漏れが止まらない場合や、気胸を繰り返す場合には、手術が必要となることがあります。
当院では、手術が必要と判断した場合は、速やかに連携している専門の病院にご紹介します。
・胸膜癒着術
手術を行うほどの体力がない方の場合や、癒着が広範囲かつ強固であることが予想されて手術リスクが高い場合などには、胸に入れたチューブから薬剤を注入し、空気漏れのある部位を胸壁と癒着させることで治療します。